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問題はその依存度がこのままでは急速に高まっていくことで、放置しておくと二〇一〇年時点で域外依存度は約七割に達するだろうといわれている。
この大部分が中東に向かえばいったいどうなるのか。
権かに湾岸戦争の後遺症もイラク原油の輸出再開で一段落した。
一見、中東情勢は落ち着きを取り戻したかのように見えるが、火種は尽きない。
いつ、何時、どのような事態が発生するのか予想はできない。
第一次石油危機に結び付いた第四次中東戦争、第二次石油危機の要因となったイラン・イラク戦争など、残念ながら、中東の政治的な不安定さは当分、解消しそうにないのが現状だ。
こうした認識はアジア共通のものといっていいだろう。
その国によって、その立場によって強弱はあるが、一種の不安感として広がっている。
その証拠に、壁にぶつかる日本の原子力開発をよそ目にアジアでは原子力ブームといっても過言ではないほど、原子力開発への期待を高めてきている。
日本、中国、韓国、それに台湾の四つの国・地域に限られていたアジアの原子力国は、二十一世紀の初頭に倍増しそうな勢いだ。
この原子力のうねりをアジアの危機に直結させることは短絡かもしれないが、エネルギー源の分散化による「危機回避」が視野にあることは否定できない。
実はアジアの国は石油の備蓄を持たない。
日本が約百五十日分の石油備蓄を持っているのに対し、アジア諸国の多くは流通のための在庫があるだけ。
大部分は非常時のための用意の余裕がないのが実情である。
ここになんらかの理由で石油貿易に支障が出た場合、対応が困難で大きな混乱が発生する恐れは高いといわざるを得ないのだ。
様々な課題を抱えつつもアジアの経済成長は継続するだろう。
その成長の分、ギー問題はひたひたとその深刻さを深める構造となってきてしまった。
アジアのエネルギー危機という言葉はともかく、アジアのエネルギー情勢は今、その脆弱性を急速に高めている。
注目される中国の原子力動向中国が急増するエネルギー消費にどう対応するのか。
そのひとつの回答が原子力である。
石油が純輸入に転じて、エネルギー消費が拡大する以上、中間も原子力に.定度依存していかなければならないことは明らかだ。
問題があるとすれば、その依存度とスピードといえるかもしれない。
それによって石油問題がまた違った形になる可能性もあり、世界的に関心を持たれてきている。
中国の原子力開発の歴史は比較的浅い。
旧ソ連の援助で一九五五年に動き出し、その後、着実に研究が進められ、八二年には核工業部が設置され、これがさらに核工業総公司に発展する。
日本にとっては原子力の「教師」がイギリス、そしてアメリカだったが、中国にとっては旧ソ連。
しかし政治的な対立がこの関係に大きく影響する。
あの共産主義路線をめぐる中ソ論争問題で、旧ソ連からの対中原子力技術援助は六〇年の秋には全而的に打ち切られ、中間は自前の開発を余儀なくされてしまった。
中国が現在、運転している原子力発電はまだ多くはない。
所江省にある秦山原子力発電所と広東省にある大亜原子力発電所の二か所だけである。
中国の初めての原子力は秦山原子力発電所で、九一年に発電を開始した。
大亜原子力の発電開始は九四年だから確かに中国の原子力発電はまだ端緒についたばかりといっていいのだろう。
それにまだまだ原子力の占める比重が小さいのだが、中国はこれらの原子力発電所建設にあたり、資金、技術面で日本などに依存した面も少なくないが、基本的には中国独自の設計に基づくものであり、中国が原子力に対し並々ならぬ熱意を持っていることがわかる。
当初、わが国は中国が原子力を持つことに対し、好意的だったが、その後、事故の発生の日本国内への影響を心配、懸念を示すようになる。
しかし、さらに実際の運転開始となって予想以上の技術水準に驚き、目下は静観という形だ。
中国自身もこうした評価を背景に自信を深め、第九次五か年計画では二〇〇〇年までに八基六百六十万キロワットの建設計画を打ち出した。
主なプロジェクトは秦山原子力発電所二期工事。
建設されるのは加圧水型二基。
すでに着工されて完成している。
特徴的なのはその国産化の努力で、設備の七割を国産で賄ったとされる点、だ。
この秦山原子力発電所では三期工事も予定されており、これはカナダ型原子力CANDU炉といわれている、天然ウランを燃料に使うCANDU炉二基が導入される予定だ。
これについてはカナダ政府との聞に契約が調印されている。
こうしたことからわかる中国の原子力開発戦略は、自力更生を進める一方で、外国にも依存しようという両面作戦であることだ。
この背景には莫大な資金問題が中国の原子力開発のネックとなってきていることがあるとみられている。
それに中国の原子力開発は大型化が顕著で経済性、効率性を強く求めている点だろう。
このほかの計画としては大亜原子力発電所の二期工事がある。
この建設はすでに場所も決まり、外国資本も導入される予定であり、フランスのフラマトム杜とは器材供給などに関する契約が締結されている。
また遼寧省にも百万キロワット級二基の建設計画がある。
この結果、中国核工業公司では二〇二〇年までに合計五千万キロワットの原子力発電所を建設、電力供給の六%を原子力に依存する構えでいる。
しかし、すでに指摘したように、こうした計画推進には巨額の資金が必要となる。
それに技術者などの人的資源が十分用意されなければならないが、果たしてそれが可能かどうか。
最終的には国家レベルから地方自治体レベルに建設主体を広げることも必要とされているが、これにはさらに問題も多い。
中国政府の原子力への熱意とは別に、問題が浮上してきていることも事実のようだ。
中国が二〇〇〇年以降も高い経済成長を維持していくとなると、その二十年間に必要とされる電力設備は五億キロワットとも六億キロワットともいわれている。
原子力発電所を予定の通りに建設するとなると、その必要な資金は五百億ドルを下らないという試算もある。
この資金を最も合理的に調達するには囲内電気料金を値上げすることだが、これは下手をすれば社会問題になりかねない。
中国の電気料金は一キロワット時約十円とされているが、実際の料金は一般家庭料金で同三円程度とされている。
電気料金が社会保障的な役割を果たしているわけで、簡単に値上げすることは難しい。
こうした複雑な事情を抱え込んでいる中国の原子力だが、基本的には波はあっても基盤エネルギーのひとつとして重要な役割を担うことになることはまちがいない。
海外のメーカーもその市場性に注目しており、日本のメーカーも例外ではない。
国内市場の息詰まりで、日本のメーカーは技術者の質量双方の維持が難しくなってきているとされ、中国に期待しているが、実際の展開がどうなるかは未知数という以外にない。
また日本の電力会社にとっては中国の原子力の安全性が大きな関心事だ。
ここで事故があることは直接的に国内問題に跳ね返ってくること必至だからである。
九九年に発生した秦山原子力発電所の事故は公表が遅れたこともあり、中国の原子力の情報公聞が問題になるなど具体的にも日本に関係してきているわけで、中国の原子力開発は今後も十分注目していく必要があるだろう。
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